離婚後に子どもの引き渡しや養育費などの支払いが決まったのに実行されないケースが相次いでいることを受け、法制審議会は、子どもの引き渡しのルールを明文化し、財産隠しを防ぐ規定を盛り込んだ民事執行法などの改正要綱をまとめ、2日に就任した山下法務大臣に答申しました。
離婚後の子どもの扱いをめぐっては、裁判で引き渡しや養育費の支払いを命じられたにもかかわらず、親権を失った親が子どもを引き渡さなかったり、養育費などを支払わなかったりするケースが相次ぎ、法務大臣の諮問機関の法制審議会が法律の見直しを進めてきました。
そして、4日の総会で民事執行法などの改正に向けた要綱を取りまとめ、山下法務大臣に答申しました。
それによりますと、親権を失った親がいなくても引き取る側の親がいれば子どもの引き渡しを可能にするほか、国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めたハーグ条約に基づく国内法の規定も、同様に引き渡しを可能にするとしています。
また、養育費を支払う側の銀行口座の貯金残高や勤務先などの情報を裁判所が照会できる規定を新たに設け、財産隠しを防ぐことにしています。
答申を受けて山下大臣は「早速、立法作業を進め、しかるべき時期に国会に提出できるよう準備を進めていく」と述べていました。
法務省は、民事執行法の改正案などを、早ければ来年の通常国会に提出することにしています。