子の引き渡し「間接強制」 応じるまで制裁金 中間試案

判所による強制執行の改正を検討する法制審議会(法相の諮問機関)の民事執行法部会は8日、離婚した夫婦間で子を親権のある親に引き渡す際、直接的な強制執行に踏み切る前に、同居する親が応じるまで毎日一定の制裁金を支払わせる「間接強制」の導入を柱とした中間試案をとりまとめた。裁判で命じられた養育費や賠償金などを支払わない債務者対策として、裁判所が金融機関に債務者の預貯金口座の有無や残高を照会する仕組みも盛り込んだ。

法務省は今月下旬から約1カ月間のパブリックコメント(意見公募)を実施する方針だ。その結果を踏まえ、部会は要綱案を作成して法相に答申。法務省は来年中の国会に改正案の提出を目指す。

離婚した夫婦間での子の引き渡しを巡っては、民事執行法には明文の規定がなく、商品などの動産の引き渡し規定が類推適用されている。中間試案は今回、「子の福祉」に配慮し、引き渡しについて直接的な強制執行の手順を明確化した。親権者に子を引き渡すまで同居の親に毎日一定の制裁金を科す「間接強制」が確定した日から2週間が経過し、原則として同居の親と子が自宅に一緒にいる場合に限って、裁判所の執行官による直接的な強制執行が可能になるとした。

部会は、裁判で養育費や賠償金の支払いを命じられても支払わない債務者の預貯金口座や給与の差し押さえを容易にする新制度も検討。裁判所が、金融機関には預貯金口座の有無や残高を、税務署や自治体には債務者の勤務先などを照会できるようにする内容だ。現状では裁判所が債務者の口座を差し押さえる場合、債権者自身がその口座のある金融機関の支店を特定する必要があるが、双方に人間関係がない場合などは特定が難しいという問題が指摘されている。

このほか、中間試案には、不動産競売から暴力団を排除するため、入札を申し込む際は、暴力団組員や元組員でないことの誓約を求め、虚偽だった場合には罰則を設ける案も盛り込まれた。

子の心身への影響重視

離婚した夫婦間の子の引き渡しのルール化は民事執行法部会で最も注目された議論だった。現状は動産の規定が準用されており、「子を物扱いするのか」との批判がある。裁判所がいきなり直接的な引き渡しを図ることでトラブルが起きることもあるとされる。そこで検討されたのが間接強制の導入だった。

間接強制には制裁金を科すことで同居の親が自発的に引き渡すことを促す狙いがあり、子の心身への影響を重視している。だが、部会では「(引き渡しを命じた)裁判所の判断を迅速に実行すべきだ」との意見もあり、中間試案の「注」として「間接強制の手続きの前後を問わず直接的な強制執行の申し立てができるとの考え方がある」の一文も加えられた。

国際結婚破綻後の子の引き渡しについては、ハーグ条約に基づく国内法が整備されており、間接強制を不可欠としている。部会では、最終案のとりまとめに向けて「子の負担軽減」と「実効性の確保」を巡る議論が続きそうだ。

 

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